アンチワーク哲学【ホモ・ネーモ】

労働なき世界を目指すアンチワーク哲学について解説するブログです。

アンチワークのためのベーシックインカム論

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先日、ベーシックインカムは「アホっぽい」という理由で否定されがちであることを指摘した。

とはいえ、僕はベーシックインカム至上主義者である。BIはアホが思い描く理想ではなく現実的であり、かつ世の中の問題を解決することができるのだと、人々を納得させてみたい。

そこで、本気でベーシックインカムのメリットを力説する記事を書こうと思う。

■なんのために、ベーシックインカムを実施するのか?

まず初めに語らなければならない点がこれである。なんのためにBIをやるのか?

社会保障費を一本化するためなのか? 公平な社会のためなのか? 雇用の流動性のためなのか?

僕から言わせればそんな細かいことはどうでもいい。僕がなぜベーシックインカムをやるべきだと考えているのかと言えば、次のような考えを実現することである。きっと次のような考えに反論する人は1人たりともいないだろう。

  • 不愉快な行為を強いられるよりは、強いられない方がいい

  • 人々が不健康であるよりは、健康な方がいい

  • 殺人や強盗といった犯罪が多いよりは、少ない方がいい

  • いじめや家庭内暴力が多いよりは、少ない方がいい

  • 貧困に苦しむ人が多いよりは、少ない方がいい

  • CO2が大量に排出されるよりは、排出されない方がいい

  • 人々に自由な選択がないよりは、ある方がいい

  • あなたが不幸であるよりは、幸福な方がいい

  • あなたに金がないよりは、ある方がいい

僕はこれらの条件を満たすために欠かせない制度がBIであると確信している。これらは人類が頭を悩ませ続け、解決するために試行錯誤しているにもかかわらず、いまだに解決の兆しがないような問題たちである。

細かい根拠については後述するが、仮にこれらの問題が解決できるのだとすれば、BIに反対する理由などほとんどないはずだ。

もちろん、重要なのは「本当にそうなるのか?」である。それを説明するためには膨大な準備が必要となる。が、できればお付き合いいただきたい。

ご存知のように、BIについての議論はあっちこっちで行われているが、状況はカオスとしか言いようがない。その理由は次のようなものだ。

■制度設計どうするか問題

BIについての議論が混乱しがちな理由の1つとして、論者によって思い描いている制度設計がバラバラという点がある。ひとくちにBIといっても、その金額や財源、既存の社会保障費の扱いなど、様々なパターンが存在し、パターンによって得られる結果は大きく異なるだろう。

どのような制度を前提とするのかを提示しないまま「BIはダメだ」「BIは最高だ」などと議論するのは、「女はエロい」「いやエロくない」と議論するようなものだ。当然、エロい女もいるし、エロくない女もいる。

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「女はエロい!」と主張する人が思い描く女性像の例。「エロくない!」のパターンは割愛。

となると、BIについて議論するために、BIにどのようなパターンが存在するのかを、分類し、整理しよう。

・財源問題

まずBIについて最も議論が別れる財源について。月7万円程度のささやかなBIであろうが1億2000万人に配ろうと思えば、追加で約100兆円のお金が必要になる。これをどのように調達するかが、最大の焦点になる。

ここでは大きく分けて2つの考え方がある。

1つは、現在の税収(社会保障費)+増税でやりくりするパターンだ(これを便宜上「やりくり主義」と呼ぼう)。おおむね、生活保護費や年金、雇用保険、健康保険などをBIに一本化したり、関連する公務員をクビにしたりして、それでも足りなければ何らかの税金で賄うという考え方だ。

2つは、通貨発行益を利用するパターン(こちらは「通貨発行主義」と呼ぶ)。いわゆるMMT的な発想である。自国通貨を発行している日本は、財政破綻することはないので、適度なインフレに収まる範囲内で国債を発行し、中央銀行に買受させればOK(要するに金を刷ればOK)という、やや破廉恥な印象のある発想である。

さて、財源の問題は、そのまま社会保障の問題に直結する。

・既存の社会保障の扱いをどうするか問題

年金や健康保険、雇用保険生活保護といった既存社会保障の代わりとしてBIを支給して一本化するのか。あるいは、既存の社会保障はそのままにBIを上乗せするのか。あるいはその中間か。

おおむね、やりくり主義者は、既存の社会保障をカットするパターンを想定する(というか、そうしなければどう考えても税収が足りないので当然である)。

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みんなに嫌われている可哀想な竹中平蔵はこのパターンを提唱しているっぽい。

それに対して、通貨発行主義者は、既存の社会保障の大部分を残した上で、さらにBI支給するという考え方を採用する傾向にある。

・金額問題

さらに金額の寡多である。月7万円なのか。10万円なのか。12万円なのか。それ以上なのか。もっと言えば成人だけに配るのか、子どもも含めて配るのか、といった点も争点となる。

さらに言えば、この点はあまり議論されないのだが、金額を固定するパターンなのか、物価に合わせて変動させていくパターンなのかも、検討の余地がある。

ただ、この点についてもやりくり主義者は、ぎりぎりの税収でなんとかやりくりしようとするため、月7万円程度で子どもには支給せず、インフレを考慮しないようなケチケチしたBIを想定しがちである。その一方で通貨発行主義者は月10万円以上で子どもにも支給し、かつインフレ調整も行うような太っ腹なBIを想定する。

・まとめると…

ベーシックインカムに対する考え方は大きく2つに分けられる。

1.やりくり主義
現在の税収と増税によりBIを賄おうとする考え。通常、年金や医療、雇用保険などの既存の社会保障の大部分をカットして、BIに一本化することが想定される。また、金額は固定しようとする傾向にある。

2.通貨発行主義
国債発行により財源を確保し、BIを賄おうとする考え。年金や医療、雇用保険などの既存の社会保険の大部分を残しつつ、BIを上乗せ支給することが想定される。またインフレに合わせて金額を調整する傾向にある。

もちろん、この中でも金額の寡多や「どの社会保障を残して、どの社会保障を残さないか」といった点では意見が別れるものの、おおむねこの2つのパターンに大別されると見て問題ないだろう(逆に、やりくり主義で社会保障を残そうとする人や、通貨発行主義で社会保障を全カットしようとする人はいない。前者はそもそも金が足りないし、後者はそんなにケチケチするなら通貨発行する意味がなくなるからだ)。

さて、BIには大きく分けて2つのパターンが存在することがわかった。そして少し考えればわかるのだが、やりくり主義と通貨発行主義は似て非なるもので、どちらを採用するかによって生じるデメリットは大きく異なる。

次は、それぞれのパターンのデメリットを見てみよう。

■やりくり主義のデメリット

社会保障のないディストピア

やりくり主義を極限まで突き詰めたパターンであれば、医療保険や年金、生活保護費、雇用保険などは全てカットされて月7万円かそこらのBIが支給されることになる。

つまり、医療費は3割負担なわけだが、それが10割負担になる。年金受給者や生活保護受給者の実入は月7万円程度まで格下げされる。失業手当や育休手当なども同様だ。

BI反対論者の一定数は、このパターンを想定して批判を行う。つまり「貧乏人は病院に行けないようなディストピアになってもいいのか?」というわけだ。もちろん、それでいい訳がないので「ほれみろ、BIなんて夢物語なのだ!」と結論づけることになる。

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ゲーム『サイバーパンク2077』の世界では、医療保険など存在せず貧乏人が怪我している横を救急車が素通りしていくことが日常茶飯事である。そんな世界を恐れずにいることは難しい。

・大増税時代

あるいは、社会保障をある程度残すパターンのやりくり主義を唱えるとなると、必然的に大増税時代が訪れることになる。当たり前の話だが、月7万円のBIをもらって月7万円の税金がとられるなら、何の意味もない。

故に「社会保障をカットしないとすれば、大増税でBIは何の意味もないぞ!」とBI反対派は主張することになる。

「金持ちや企業から取れ」という声もあるわけだが、それに対してはBI反対派は、「金持ちや企業が国外に逃げて国内産業が崩壊する」という反論を行う。僕は産業崩壊論については懐疑的なのだが、その点は割愛するとして次に進もう。

■通貨発行主義のデメリット

当然、BI賛成派は「病人や年寄りは野垂れ死ねばいい」とか「7万円のBIのために国民1人あたり7万円増税すればいい」などと主張することはない。となると通貨発行主義に走ざるを得ない。が、これも当然デメリットは想定される。

ハイパーインフレ

通貨発行主義のデメリットはこれに尽きる。自国通貨を発行できる日本が財政破綻することはあり得ない。だが、好き放題、通貨を発行すれば当然ハイパーインフレのリスクが高まる。

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ハイパーインフレ下のジンバブエの一幕。誰もこんな世界に住みたくはないのである。

BI賛成派は「ある程度はいけるやろ!」と主張するわけだが、反対派は「いや無理やろ」となる。

つまり、制度面での争点は次の点に集約される傾向にある。

通貨を発行すればインフレするのか、それともしないのか?

■最大の争点、インフレとはなにか?

ここで、アホっぽいと思われないように、小冊子を取り出してこよう。

インフレ(物価上昇)がなぜ起きるのか。著者のスコット・サンテンス曰く…

物価上昇は、何かに対する需要が供給を上回ったときに起こるものです。

スコット・サンテンス『ベーシックインカム×MMT(現代貨幣理論)でお金を配ろう』p27

この点には異論はないだろう。そして、このことからスコットは、お金を配ってもインフレしないパターンについて解説してくれる。

・インフレしないパターン

もしアメリカの成人全員に毎月1200ドルを配ったときに…

もし全ての人々が1200ドルの小切手を現金化してベッドの下に隠したとしたら、おカネが新たに創られたとしても需要の増加は起こらないので、インフレ的な効果は全くありません。

同p27

若干、直感に反する部分ではあるが、間違いないだろう。金が配られても、みんながタンス預金に回すなら、その結果はなにも起こらない。当然である。

また、サンテンスは次のようにも語る。

もしみんなが1200ドルを音楽配信に使ったとしても、その需要は供給量を超えることはないでしょう。なぜなら、そのような商品は無限に供給を増やせるからです。だから、インフレ的な影響は生じないのです。

同p27~28

つまりいくらでもコピーし放題のもの(ソシャゲのアイテム、ゲームのダウンロードコンテンツ、配信音楽、動画など、いわゆる限界費用ゼロの商品)は、いくら需要が高まってもインフレしないというわけだ。

また、需要が増加して供給が不足していても、インフレしないパターンもあるという。それは単純に順番待ちをしてもらうケースだ。品薄であってもニンテンドーがSwitchの価格を釣り上げるようなことはしかなった結果、Switchの価格は据え置きであった。つまり、インフレは起きなかった。

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これだけ人気でも3万円で買える世界。ありがとう、任天堂

あるいは、需要増加により逆に価格低下になるケースとして、サンテンスは天然ガス採掘の水圧破砕法の発明を上げている。

原油価格が高騰し、産油業がものすごく儲かるようになったとき、石油生産を増やす方法が発明されたのです。(中略)これによって、1ガロンあたり4ドル以上だった価格が半分以下にまで下がり、そのおかげで物流コストも下がり、他の多くの物も安くなったのです。

同p31

つまり需要が高まった結果イノベーションが起きて、逆に価格が下がるケースもあるわけだ。

では、逆にインフレするのはどのようなときか?

・インフレするパターン

サンテンスは中古車を例に説明する。

2020年には、中古車の需要が増え、結果的に中古車の価格が上昇しました。限られたものを欲しがる人が増えれば、それを買おうと競争する人が出てくるので、そのぶん価格が上昇します。

同p29

コロナによって車の必要になる郊外に引っ越す人が増えたことで需要が増え、世界的な半導体不足で供給が減り、その組み合わせで中古車価格は上昇した。

あるいは、ガソリンの場合はといえば…

202年の外出禁止の頃は、ほとんどの人々が家から出られず、車を使えなくなったので、ガソリン価格が急落しました。需要よりも供給がはるかに多くなったのです。その結果、製油所が閉鎖され、ガソリンの生産能力が縮小しました。2021年には需要が通常の水準に向かって急激に回復しましたが、一部の製油所が永久に閉鎖されたため、2021年の生産能力は2020年のそれを下回っています。需要の大きな変化に対応するには時間がかかるので、ガソリン価格が高騰したのです。

同p29~30

ここまでを簡単にまとめると、冒頭の結論に帰ってくる。インフレとは、需要が供給を上回ったときに起きるが、お金が配られるからといって必ずしもインフレするわけではないし、需要が供給を上回ったとしても必ずしもインフレするわけではない。また、この商品はインフレしたけど、あの商品はインフレしないということもあり得るわけだ。

(金余りだけではインフレが起きないことは、そもそもタンス預金がGDPの5倍ほどになる日本が証明していると言っていいだろう)

では、通貨発行&BIによって起きるインフレとはどのようなものだろうか?

■通貨発行&BIによって起きるインフレとはなにか?

・需要が増えるパターン

まずは需要側から考えてみよう。月10万円を追加で配られたとして、「ひゃっほうー!金もらえたぜ!」と喜ぶ人々が一体なにを買うのか?

先ほどの議論からすれば、全員がソシャゲに課金したとすればインフレは起こらない。全員がニンテンドーSwitch購入を決めたとしてもニンテンドーが顧客に順番待ちを強いたならインフレは起こらない。では、全員がsupremeのパーカーを購入するならば? 間違いなくsupremeのパーカーはインフレするだろう。

とはいえ、このパターンに関しては大した問題だとは思えない。なぜならば、supremeのパーカーが高かろうが安かろうがどうでもいいからである。

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ユニクロでよくない?

それに、仮に人々の欲望が嗜好品に向ったとして、supremeに一点集中することはあり得ない。ゴルフクラブを求める人もいれば、高級メロンを求める人もいる。supremeの高騰の結果、衣料品全般の原料が高騰し、衣料品全般の値段が上がったなら大問題であるが、特定の嗜好品やその原材料だけが急激にインフレするような事態には陥ることはないだろう。

では困るのはなにか? それは生活必需品の高騰だろう。最悪の場合、supremeもゴルフクラブも高級メロンも諦めはつく。しかし、トイレットペーパーや米、冷蔵庫の値段が高騰するとみんなが困る。

とはいえ、「よっしゃあ月10万円もらえるから、米2倍食おう!」などと考えるような人はいないか、いたとしてもごく少数であることは明らかだ。天下取っても二号半である。

せいぜいシングルを使っていたトイレットペーパーをダブルにしようとか、ちょっと高い国産の家具を買おうとか、有機野菜を買おうとか、グラスフェッドの牛肉を買おうとか、その程度の変化に過ぎない。この手の現象は起きないか、起きたとしてもいい影響であると捉えられる。

なぜなら、高級品とは往々にして労働環境が良好な職場で創られていて、かつ環境負荷が少ない傾向にあるからだ。みんなが国産の家具を買えば、国内の林業が盛り上がり、逆に国産家具の価格が下がる可能性すらある。有機野菜の価格が下がることも、間違いなく良いことだ。

ここまでの議論をまとめよう。

  • BIを配ったからといって、生活必需品の需要が高騰することでインフレが起きるようなことは考えにくい

  • 上がるとすれば嗜好品だが、嗜好品の需要は分散されるので対して上がらないだろうし、上がったとしても大した問題ではない。

  • 逆に高級品の需要が高まることで、持続可能な産業が成長し、価格が下がるといういい影響も考えられる。

さて、BIによって需要が増えることはおそらく悪いインフレをもたらさないことがわかった。となると次に考えるべきは供給側だろう。供給が減ってもインフレは起きるのだから。

・供給が減るパターン

気づけば最もBIに関する議論の中での、重要項目にたどり着いてしまった。BIによって供給が減る状況というのは、要するに誰も働かなくなるケースだ。

「BIもらえるから働かなくていいやー!」と米農家が仕事を放棄すれば、米の価格は急騰し、子どもたちが飢えることになるだろう。家を建てる人もいないし、電気やガスも届かない。道路工事も行われなければ、ごみ収集も行われない。もちろんそんなことになったなら、日本は終了である。

では、人々はBIを支給されれば働かなくなるのだろうか? この点については詳しく検討していこう。

■働かなくなる問題について

この問題については、ルドガー・ブレグマンの『隷属なき道』を紐解くのが適切だろう。

この本では、BIの小規模実験の結果が大量に記載されている。例えば、アメリカの各地域で行われた実験についてである。

全体的に、労働時間の減少はわずかだった。(中略)賃金労働の減少は一世帯あたり平均九パーセントで全ての州においてこれは、幼い子どもをもつ若い母親が、外で働く時間を減らしたのが原因だった。後の調査では、この九パーセントさえ、多めの見積であることがわかった。(中略)労働時間の減少はきわめてわずかだったことが判明した。

ドガー・ブレグマン『隷属なき道』p43~44

本の中では、この手の調査結果が「これでもか」というくらいに挙げられている(ついでに言えば、ほとんどのケースで、犯罪の減少、障子死亡率の低下、貧困の撲滅、学力向上、経済成長といった効果が見られた。ホームレス対策費の最も有効な使い方は、ホームレスにそのお金を直接渡すことであったし、麻薬対策費の有効な使い方も、ジャンキーにそれをそのまま渡すことであった)。

要するに、「金を渡したら働かなくなるだけ」という議論は、小規模な実験においてはほぼ否定されている。この手の実験は検索すればいくらでも出てくる。

もちろん「小規模かつ短期間の実験だからやめなかっただけであり、大規模かつ長期間の実験ならやめるだろう」という反論は常に可能である。フィンランドのような小国でうまく行ったからといって日本でうまくいくとは限らない、というわけだ。もちろんその通りなのだが、その理論を振りかざすのであれば、今後どんな政策も実行不可能になるということを理解すべきだろう。どのような政策も2024年の日本で行ったことは一度もないのだから、実施したことが原因で南海トラフ地震が起こる可能性はゼロではない。故にどのような政策も実行すべきではないと僕が言っても反論できなくなる。もちろん、こんな馬鹿馬鹿しいことを主張する必要はない。僕たちは、手に入れられる情報を元に、最大限ありえそうな予測を立てる。今のところ手に入る情報では、BIがあってもみんな働きそうである、という話だ。

また、これは僕がよく挙げる根拠なのだが、日本の農家の平均年齢は66.8歳であり、年金受給年齢を過ぎている。中央値ではないし、農家のうちどれだけが年金受給資格を満たしているのかはわからない。ただ、(二次情報だけど…)無年金率は1.3%らしい。

要するに農家の半分近くは年金という名の事実上のBIを受け取っているにもかかわらず、仕事を即座にやめるような事態に陥っていない。

おそらく65歳以上の農家に住宅ローンなんて残っていないだろうし、子どももほぼ独立しているはずだ。それに農業なんて決して儲かる商売でもない。それでも彼らは農業を辞めようとしない。惰性なのか、他にやることがないからなのか、使命感からなのかはわからないが、これが現実である。

以前、BI反対論者の記事で、「BIを配ったら、人々に生活必需品を供給する保証がなくなるからダメ」といった反論を書いているのを見たことがある。だが、それを言うなら、現時点で保証はないのだ。保証するためには、日本の農家から年金を取り上げなければならない。

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いつもありがとう農家さん。年金は取り上げさせてなるものか。

これだけ根拠をあげれば、「BIを配れば誰も働かなくなる」という議論にはほとんど説得力がないと言っていいだろう。フィンランドや他の国々で短期的に行われたBI実験は成功したけど、日本で長期でやれば失敗するし、農家は事実上BIをもらっても働いているけれど、他の産業はそうはならないとでも主張するのなら、それ相応の根拠が必要だ。おそらくBI反対論者にそれだけの根拠はないはずだ。

■生きがいがなくなる問題について

これはいちいちトピックを立てるまでもない問題だと感じるが、意外とよくある反論なので、あらためて取り上げておく。

それは「BIで生きがいがなくなる」という反論だ。例えばこれ。

ベーシックインカムの導入により、経済的な安定が得られる一方で、個人の生きる意味や職業に対する意欲が変容する可能性があります。この変化が逆に一部の人にとって適応困難となり、生きる意味を見失うリスクが存在します。

生きる意味の喪失は、精神的な問題や社会的な孤立を引き起こす可能性があり、これに対処するために一部の個人が薬物や反社会的行動に繋がるケースが増加するかもしれません。実在そのような見解を示している専門家もいます。

https://note.com/679network/n/n9887d68116ec

これは一言で反論できる。「そう思う人は働くんじゃないの?」だ。BIが配られるからといって誰も「働くな!」とは言わないのである。

逆にBIによって能力のない人から活躍の場が奪われるという議論もあった。

これに関しては「ありえない」と一蹴して問題ないだろう。

この議論には、そもそも今の社会で能力がない人が雇用されているのは「食わせてやるため」のお情けであって、彼らは単なる社会のお荷物であるという前提がなければならない。つまり、企業は、能力がない人を首にしても路頭に迷わないことがわかった途端に「あ、お前らはいらないから」と即座に首を切り始めるというわけだ。

能力がないとされる人々がつく底辺職であればあるほど社会に必要であることは、おそらく間違いない。

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コールセンターを例外として、他の仕事に就く人々が一斉にいなくなった場合、悲惨な事態に陥ることは間違いない。

そもそも企業は慈善事業ではない。人を雇っているのは、それはその人を雇うことで利益が出ると判断しているからであって、無能な人を食わせてやるためでは決してない(障害者雇用などは例外かもしれないが)。

要するに、仕事が生きがいだと感じる人はそのまま働けばいいし、それを止める人はいないということだ。

■その他、雑な反論について

BI反対論には多種多様なバリエーションが存在する。玉石混交で大半は石なわけだが、重箱の隅をつつくいて鬼の首を取ったような顔をされるのも癪なので、目につく限りで一通り反論してみようと思う。

貧困ビジネスの蔓延

そもそも、生活保護を受給している人をターゲットにした悪徳商売を展開する人もいる中で、ベーシックインカムのように全国民に一律で一定額が給付されるようになった場合、それに目をつけた悪い人がそれを商売のタネにすることは大いに予想される。それはあまり良い社会とは呼べないような気がするのだ。

https://note.com/yahiro2000/n/nff2ab9505bd2

これはほぼ言いがかりだが、一応反論を試みよう。

そもそも今の世の中では助成金ヤクザのような人もいるし、生活保護の囲い屋もいる。だがこれは制度が複雑で官僚制によって用意されたサーカスの輪をくぐり抜けるサポートと称してピンハネするような人々なので、BIのように明快なシステムにおいては悪い人の出る幕は少ないように思える。また、それを理由にするのであれば、世の中のあらゆる手当や助成金を廃止すべということになってしまう。

・平等は公平ではない

同じ方の別の論点についても触れよう。

そもそも、全国民に「平等」にお金を配ることは、決して「公平」ではない。ベーシックインカムは、全国民に一律にお金を配るというものだと思うのだが、社会福祉を必要とする貧困層と、それを必要としない富裕層にも一律でお金を配ろう、ということになる。それは富の分配としてはあまりにも大雑把だし、意味がないのでは、と思うのだ。

https://note.com/yahiro2000/n/nff2ab9505bd2

これもほぼ言いがかりである。BIの目的は公平であることではない。そもそも別に誰も公平になど興味はないのである。BIのメリットは後述するが、万人に対する生活の保障による支配からの解放である。

・リスクがわからない問題

イレギュラーにどう対応するのかの議論がなされてない

これが一番私が思うダメなところである。
試算でこれだけしかインフレしないとか言われても、実際もっとインフレしたらどうするのかという視点が無い。
ベーシックインカムは上手くいくはずだだけでなく、インフレへの対処は?世界情勢の変化で物価上昇したら?経済状況の悪化による維持が困難時の対処は?財源不足にならないようにするために何をする?という様々な視点での考察を行い、道筋を作れないなら机上の空論としか言いようがない。
イレギュラー起きて対処遅れれば財源不足による支給の遅れ、インフレで支給額がほんの端金になったりと助けたいはずの貧困層が一番苦しむ結末になりかねない。
それなのに議論されてないのは、ベーシックインカム信者達の欺瞞と言わざるを得ない。

https://note.com/bright_eel276/n/n8648dc5ed4e0

これは議論の体をとった却下と言っていいだろう。この人の前にエビデンス資料を100ページ用意すれば101ページ用意しろと言い、101ページ用意すれば「長すぎて読めない」とか言い出しそうだ。

気持ちはわからんでもないが、それを言い出したなら何もできなくなる。それに、先ほどまでの議論を考えればインフレリスクは低そうだ。

共産主義を知らないのか?問題

運用するのは人間であるのを理解していない

共産主義という思想はご存知だろう。
政府が富を集めて分配し、皆平等を目指す経済思想だ。
実現できればみな平等で貧困な世の中が実現できるだろう。
しかし、それはあくまで理想論だ。
現実では富が集中する政府の関係者たちが富を独占し、平民は皆貧乏になるという末路を辿ることが多い。
性質上ベーシックインカムも同じ末路を辿る可能性は高いのだが、何故か政府に善性ありきで語られている。
それではあくどい者が政府に入り込むだけであっという間に破綻しかねない。

https://note.com/bright_eel276/n/n8648dc5ed4e0

僕たちは幼少期から「共産主義を持ち出しておけばどんな議論も論破できる」と進研ゼミで教わってきた。が、よく考えれば意味がわからない。

ベーシックインカムにはむしろ政府の善性は必要ない。平等に配ると言う性質上、システムは全くもって透明だし、利権が全く発生しないからだ。ベーシックインカムによって袖の下を受け取ることは不可能だし、中抜きするのも不可能だろう。

移民問題

これはありがちな批判だが、日本がBIを導入すればBI目当ての移民が殺到する、というものがある。これに関しては「いいんじゃねぇの?」で良いと思う。そもそも、移民がなぜダメなのかと言う理由を聞けば、安く働きがちな移民に仕事が取られて賃金が下がることや、治安が悪化することがあげられるわけだ。

BI下であれば、賃金が下がっても別に大した問題はないし、後述するがBI下では犯罪率が低下することが予想されるので治安の問題もクリアである。そもそも日本がBIを成功させれば各国が続いて実施すると思われるので、日本にだけ殺到するような事態にもなるまい。

・為替問題

国債発行により通貨供給量が増えれば極端な円安が進み、日本人が真面目に働いていても輸入品の高騰によるインフレが起きることは予想される。この問題については、ぶっちゃけよくわからない。だが、後日別記事にまとめようと思っている(ので、一旦スルーさせてほしい)。

■ここまでのまとめ

雑な反論に構ったことで議論がとっ散らかったが、一旦整理しよう。

  • 通貨発行型のBIなら社会保障はそのままで、BIを実現できる。

  • 想定される通貨発行型BIのリスクはインフレである。

  • インフレは需要の増加、または供給の減少により起きる。

  • だが、生活必需品の需要が大きく増加する可能性も少なく、嗜好品の需要は分散されることから、需要の増加による大幅なインフレは考えにくい。

  • 誰も働かなくなって供給の減少する可能性は、数々の実験や年金受給者が大半を占める農家の現状を見れば、低いと考えられる。

  • 故に、供給の減少によりインフレが起きる可能性も低い。

  • 故に、通貨発行型BIのデメリットは(思いつく限りでは)ない。

さて、ここまででもう1万字を超えているわけだが、デメリットのフォローばかりをやってきた。そろそろ、メリットの方を書いていきたいと思う。ここまで見てきたところデメリットはほとんどないと言っていい。ならばメリットに目を向けてもいいだろう。

■BIのメリット

・貧困の撲滅

これに関しては説明不要だろう。貧困とは金がないことだ。金を配るなら貧困はなくなる。

・ブルシット・ジョブ撲滅

仕事をやめる人は少ないという主張と矛盾するように感じるかもしれないが、自分の仕事が無益だと感じているような人なら、即座に仕事をやめることだろう。あるいは「もっと有益な仕事をさせろ、でなきゃやめてやる」という交渉を持ちかける可能性も高まるだろう。無意味な書類仕事や、会議に次ぐ会議といったブルシット・ジョブは減少するはずだ。

グレーバー『ブルシット・ジョブ』によれば先進国の37~40%の仕事はブルシット・ジョブであるという。ならばある程度なくなっても問題ない。

グレーバーはBI下の社会を想像して次のように述べている。

自由な社会の一定の層が、それ以外の人々からすればバカバカしいとか無駄だと思える企てに邁進するであろうことはあきらかである。しかし、そのような層が10%や20%を超えるとはとても想像し難い。ところが、である。富裕国の37%から40%の労働者が、すでに自分の仕事を無駄だと感じているのだ。経済のおよそ半分がブルシットから構成されているか、あるいはブルシットをサポートするために存在しているのである。しかも、それはとくにおもしろくもないブルシットなのだ! もし、あらゆる人びとが、どうすれば最もよいかたちで人類に有用なことをなしうるかを、なんの制約もなしに、自らの意志で決定できるとすれば、いまあるものよりも労働の配分が非効率になるということがはたしてありうるだろうか?

グレーバー『ブルシット・ジョブ』p364

また、ブルシット・ジョブの撲滅は、インフレの抑制にもつながると考えられる。企業は、広告宣伝や営業活動、その他ブルシット・ジョブに莫大な費用をかけている。それらに携わる人々に支払っていたお金が必要無くなれば、単純にものの価格は下がっていく可能性もある。インフレ傾向は多少なりとも抑制してくれるはずだ。

・環境問題の改善

ブルシット・ジョブのために建てられたオフィスビル。エネルギー。過剰生産。過剰労働。こういった活動が抑制されれば、環境問題も解決に向かっていくと思われる。少なくとも、今のところそれくらいしか有効な解決策はないように見える。

・健康問題の改善

ストレス過多のブルシット・ジョブから人々が逃れられたとき、真っ先に生じるであろう効果は健康問題の改善である。

ブレグマン『隷属なき道』においても、短期間のフリーマネーの支給ですら人々の健康問題の改善に寄与したことが示唆されている。おそらく、長期の支給であるならもっと大きな効果が得られるだろう。そしてこのことは図らずも、医療費削減、医療業界の労働時間削減にもつながるはずだ。国債発行によるインフレリスクも、多少軽減することができるだろう。

・犯罪率の低下

これもブレグマン『隷属なき道』にて度々、示唆されているし、僕たちの直感にも合致する。貧すれば鈍するわけで、衣食足りて礼節を知るわけだ。

そもそも、未来永劫まで食うに困らない社会で強盗する理由などあるだろうか? 殺人する理由などあるだろうか?

そしてこの傾向も財政問題の解決に寄与することになる。警察、検察、刑務所、裁判といったあらゆるセクションの支出の削減が可能になっていくはずだ。

・家庭内トラブルの減少

そもそも殺人の半数は家庭内でおきている。このことが何を意味するかを考えてみよう。

普通、人間は人間を殺したいとは思わないものである。可能であれば、殺したいと憎む前に、その人からそっと離れるのが普通だ。しかしそれができないのが家庭である。

夫の収入がなければ生活できない妻や子どもが、暴力に耐えなければならないのは、夫の収入がなければ生活ができないからだ。BIがあればいつでも逃げることができる。家庭内でわざわざ殺人を犯すような事態にまで発展することがありうるだろうか?

そもそも、夫の方も、ストレスをためながら労働する必要はないのである。誰が妻を殴るだろうか?

・いじめ問題の撲滅

いじめられても学校に通わなければならないのは、学校に通わなければ就職できないからだ。もし、就職しなくても食っていけるのであれば、無理に学校に通う必要はなくなる。

それに、親の懐にも余裕が生まれているわけで、モンテッソーリの学校とかオルタナティブ教育を試す余地も生まれる。いじめで自殺するような子どもは、長い目で見ればいなくなるはずだ。

・過剰な競争社会の抑制

大卒者が半数を超えた日本だが、経済成長が止まっていることを見れば、「教育に金をかければ社会が豊かになる」という社会一般に普及している漠然とした期待が嘘であることは明らかである。教育は単に美味しいポジションを確保するための椅子取りゲームと化していて、そのために子どもたちが夜遅くまでに勉強しているわけだ。就活競争も同様である。

こういった活動は、多少はあってもいいものの、明らかに今は過剰だろう。競争に勝たなくても路頭に迷うことがないという絶対的な安心感があれば、有害な競争は減っていくはずだ。

・企業不祥事の撲滅

好き好んで街路樹に除草剤を撒く人などいない。しかし、ビッグモーターに勤めるサラリーマンたちは撒いたのである。では、なぜ撒いたのか?

社長からのプレッシャーであり、上司からのプレッシャーである。そして、なぜ彼らがプレッシャーに屈する必要があったのかと言えば、逆らえばクビになるかもしれないと恐れていたからだ。

逆にいえばBIによってクビを恐れる必要がなくなったのなら? 「いや、それはおかしい」と反論する人がたくさんいたに違いない。そこまでしないとしても、そっと職場を離れる人が多数現れただろう。

ビッグモーターに限った話ではない。汚染物質を垂れ流したり、環境汚染の検査の数値を誤魔化したり、そういうことをする人は間違いなく減るはずだ。

少子化問題解決

子どもにもBIが支給される上、育児に専念できるお金も手に入るのであれば、子どもを産もうと思う人は増えるはずだ。異次元の少子化対策にふさわしいのはBI以外あり得ない。

・お金がもらえて嬉しい

最大のメリットはこれである。何はともあれ嬉しい。このことを見逃してはいけない。嬉しいことはいいことである。みんなハッピーで幸せである。

・やりたいことができる

やりたい仕事に就いたり、仕事以外でやりがいを見つけたり、何はともあれ人生の選択肢が広がることは間違いないだろう。社会に必要な財やサービスが提供されるのであれば、そうなることは間違いなく良いことである。

・労働が労働でなくなる

これは僕が提唱するアンチワーク哲学そのものなわけだが、改めて説明していこう。これこそがBIの最大のメリットであると僕は考えている。

■BIによって労働は消える

※以下、僕のフォロワーにとってはお馴染みの議論なのですっ飛ばすことをおすすめする。

・そもそもなぜ労働は辛いのか?

多くの人は、マクドナルドの店員がポテトを揚げることや、農家が畑を耕すことそのものが辛いから、労働が辛いと考えているが、それは誤りである。

決して労働と見做される作業そのものが本質的に辛いわけではない。趣味で料理をする人も家庭菜園をする人もいる。彼らは好きでやっているわけで、辛いだなんて思っていないのだ。

そんなことは当然である、と思っただろう。ではなぜ労働が辛いのか? それはズバリ支配されるからであり、無意味な仕事であっても拒否できないし、気分が乗らなくてもやらざるを得ないからだ。

上司や客、社長に歯向かえばクビになる。ならば歯向かえない。8時間以上働かなければならないし、無理難題なノルマにも答えなければならない。無意味な会議にも出席しなければならない。こういう状況を人は「辛い」と感じるわけだ。

事実、マクドナルドの店員が「ポテトなんか揚げたくないねんクソが!」と愚痴ることはないし、「ハンバーガーの作り方むずかしいから死のう」と言って死ぬことはないのである。

・なぜポテトを揚げるのは辛くないのか?

ポテトを揚げる行為には明らかに意味がある。客が食べてくれて、喜ぶ、腹を満たせる。要するに誰かに貢献する行為である。

自発的に誰かに貢献したとき、人は快感を覚える。要するに、人は誰かに貢献することを欲望するのだ。

世話を焼きたくて焼きたくて仕方のないおばあちゃんや、母親の手伝いをしたくて仕方がない3歳児。文化祭の準備を手伝うことができずにモジモジしている男子高校生。鳩に餌をやるおっさん。こういった人々は明らかに貢献を欲望している。

だからポテトを揚げる行為は辛くないどころか、自発的なら楽しいのである。

・なぜ強制されると辛いのか?

しかし、これが強制されるとなると話は変わってくる。もしあなたが「塩をとってくれ」と頼まれたら喜んで渡すだろうが、「おい、塩を取れ」と言われたなら断るか、渋々ながら渡すだろう。

全く同じ行為であっても、お願いから始まる自発的な行為であるか、強制されているかによって、その行為が楽しいものになるか、辛いものになるかは変わる。

労働とは、事実上の強制である。なぜなら、労働をやめれば自分や家族が路頭に迷うからである。もちろん、転職することもできるし、生活保護もある。とはいえ、ほいほい転職できるわけでもないし、生活保護の受給も簡単ではない。

・BIによって強制が消えれば、労働は労働でなくなる

BIがあれば、ほいほい退職も転職もできるようになる。つまり辛い労働からは誰もが逃れられるようになり、理論上は全ての労働を自発的に行うことができる。長すぎると思ったなら時短労働を交渉しやすくなるし、仕事内容に不満を感じれば配置換えを要求しやすくなる。

どう考えても理想的な社会である。

労働の供給量が減るリスクもあるが、そもそも現代はブルシット・ジョブで溢れかえっているし、過剰生産に陥っている。ならばちょっとやそっと働く人が減っても問題はない(ブルシット・ジョブが減っても供給量は減らないし、過剰生産分が生産されなくなってもインフレは起きない)。

そもそも温暖化でこれだけ騒ぎ立てているのである。仕事量が減れば間違いなくCO2は減るのだ。本気で温暖化対策をやるにはBIをやる以外にあり得ないだろう。

※ここまでの内容は以下の記事にも詳しくまとめてある。

■総まとめ

一応あれこれ書いてきたが、実のところ僕はマクロ経済に関してはど素人である。特にインフレの部分や為替の部分に関しては、確固たる自信はない。なので真面目な話、ツッコミどころがあれば突っ込んでほしい。

ただ、僕にとってBIは、それらのデメリットが訪れる不確実性を補ってあまりある魅力があると感じている。繰り返すが人類が頭を悩ませてきたあらゆる問題を解決する可能性を秘めているのである。そんな政策を他に思い浮かべることができるだろうか?

貧困、環境問題、犯罪、健康、いじめ、不祥事、少子化…これらの問題に僕たちはどれだけの時間をかけて、どれだけの空振りを繰り返してきたことか。歴史を振り返るのも憂鬱になるくらいに、成果は挙げられていないか、微々たるものだろう。

だったら、多少不確実であっても清水の舞台から飛び降りる気持ちで実験してみても良いと考えるのは、さほど常識はずれな考えでもないはずだ。

もちろん、一夜にして全てが変わるわけではない。はじめはどのように振る舞って良いかわからず困惑する人もいるだろうし、犯罪の低下や健康問題の改善などは時間をかけて進行していくプロセスだろう。とは言え、長い目で見たときに、良い結果が得られるであろうことは間違いないように思う。

おそらく何を言われても僕がBI信者をやめることはないだろう。しかし、デメリットにも慎重に目を向けたいと思っている。

要するに、ぜひあなたにも議論に参加してきてほしい。

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