アンチワーク哲学【ホモ・ネーモ】

労働なき世界を目指すアンチワーク哲学について解説するブログです。

逆に労働を撲滅しないで、どうやって世の中を成り立たせるの?

少子高齢化。環境問題。格差。貧困、いじめ。パワハラ。セクハラ。ブラック企業。医療。犯罪。介護、保育、建築、農業、林業、漁業などエッセンシャルワーカーの人手不足や高齢化。資源の枯渇。

こうした問題は抜本的な解決が図られることなく、常に将来世代に先送りにされてきた。政治家や企業はSDGsのような明らかにやる気のない見せかけの解決策に取り組んでいるフリをし、自分の世代で美味い汁を吸って逃げ切ろうとしている。まさしく「大洪水よ、我が亡き後に来たれ」といった態度である(彼らが「これからは課題解決能力が大切だ」などと言い始めるのだからお笑い種である。彼らは課題先送り能力しか身につけていないというのに)。

では一般市民の方はと言えば「なんか大変そうやなぁ」とニュースを観て憂いの表情を見せた数分後にはケロッと忘れている。「なんか大変そうやけど、まぁなんとかなるんちゃう?」という感覚を抱いていることはほぼ疑いようがない。

これは正常化バイアスの仕業なのだろうか? それとも僕が骨の髄まで衰退ポルノに浸かっているのだろうか?

わからない。実際のところ、この社会は、これまではなんとかなってきた。いや、なんとかなっているという見せかけを維持してきた。過労死したサラリーマンや自殺した子ども、介護施設で銃殺された老人にとっては、「なんとかなっていない」のだ。でも、人間は社会をできる限りなんとかさせて、なんとかなっているという素振りを維持する生き物なのである。

でも、これから先もなんとかなる保証はどこにもない。

たとえば食糧という側面だけ見ても課題は山積なのだ。気候変動により雨が降らず、温度が上がりすぎて作物が育たなくなるかもしれない。大規模農業が行きすぎた結果、表土が流出し、地力が下がるかもしれない。農薬を撒きすぎて蜂が絶滅し、受粉ができなくなるかもしれない。化学肥料に欠かせないリン鉱石枯渇するかもしれない。そもそも農家の平均年齢が80代になるかもしれない(とかなんとか言いながら膨大な食品ロスを出している)。

そんな問題を解決しようにも少子化で人がいない。保育士が足りない。若者に金がない。ワンオペ育児が辛い。ようやく生まれた子どもたちも受験に苦しめられて、自殺数は過去最多

社会に出たと思ったらブルシット・ジョブで無意味に消耗されられ、暴飲暴食を繰り返す。あるいは精神科に列をつくる。発達障害や精神病といった弱者の認定証をなんとか手に入れようと競い合う。結果、生活保護も過去最多

数少ないエッセンシャルワーカーは長時間労働で酷使される。それでも足りない分はベトナム人留学生を借金漬けにしてこき使う。

かたや馬車馬のように働き貧困に喘ぐ人々。かたや莫大な金を稼ぐ大企業と政治家。文句を言えば、自己責任。鬱は甘え。生活保護はクズ。子持ち様は優遇されてずるい。エッセンシャルワーカーは底辺。移民排斥。環境問題は活動家の捏造。なんの解決にもならないレスバトルだけがXで延々と繰り返される。

ディストピアである。

僕は、このままなるようになった社会で、自分の子どもたちや他の子どもたちに生きて欲しいとは思わない。多くの大人たちはいい教育を施して勝ち組にさせることで子どもの未来を守ろうとするが、勝ち組への道はどんどん狭まっている。そして、勝ち組もまた幸福とは限らないのである。なら、僕は子どもをインターナショナルスクールに通わせるよりも、この社会をどうにかするというベクトルで、子どもたちに貢献したい。

そのためにはアンチワーク哲学の普及であり、労働の撲滅なのである。

この社会の問題の大半は労働が引き起こしている。労働とは不安に漬け込んだ強制である。ベーシックインカムにより不安を取り除けば、強制は消えていき、労働が消える。そして人々はようやく腰を据えてあらゆる問題の解決に取り組もうとするが、その瞬間には問題の大部分が解決されていることに、人々は気づくはずだ。

なんだ、ぜんぶ労働のせいだったんだ。なんでこんな簡単なことに気づかなかったんだろう」と人々は口にする。50年もすれば僕たちの世代は狂ったようにモアイ像をつくりつづけるイースター島の人々のように、理解不能イデオロギーに支配された狂人集団として教科書に載るだろう。

アンチワーク哲学に対する批判に対する、もっとも有効な反論はこうである。

代案は?

そう。誰も代案など持っていないのである。人々はタイタニックの一等客室を奪い合うか、二等客室で悠長にワイングラスを傾けて満足しているにすぎない。自分の子どもを一等客室に押し込もうと夢中になっているうちに、タイタニックは沈んでいく。

このまま労働と共に海底に沈むのか?

それとも労働を捨て、自由と希望の舵を握って大海を駆け巡るのか?

さぁ、どちらを選ぼうか。